ちいきの広場光
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10万年待てますか?
放射性廃棄物は極限光技術を使ってなくすことができる
―原子炉を使わない方法―
●著者: 山下幹雄
●出版社:風詠社 ●価格:税込2700円
購入申し込み受付中
連絡先:TEL 080-4040-2534
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・出版意図
放射性廃棄物問題を解決する画期的な試み
地球の生命を脅かす原発事故。今後もこの発電方式を利用し続けるには、廃棄物を地下に長期保存するしか方法がないのだろうか。
技術的な壁やコスト、永続性、安全性、装置サイズなどの課題に対して、最新の光技術が果たす可能性を探る。光研究の第一人者が著した必読の書で、世界に類を見ない方法を明示している。
核廃棄物の能動的処理方法は、中性子を照射する核変換法が既に提唱されている。ただし、この方法は原子炉を利用するもので課題は非常に大きい。
本書で明示する方法は原理実験実証されている。加えてセシウムの寿命30年が2週間以内に短縮できることが物理的に解明されている。
このシステムは自己増殖型ではないので暴走しない。
またテーブルトップ・サイズの可能性を秘めている。
本書は最新の光技術を活かしたもので、人類が創り出した最短・最高出力の光パルス技術を用いた超小型レーザー加速器による、発生γ線を利用する類のない方法である。
●大垣英明京都大学教授 推薦文
(量子ビームの基礎&応用(核物質セキュリティー検知を含む)分野で世界的に著名、京都大学エネルギー理工学研究所教授)
長年にわたって我が国のレーザー技術開発を牽引された山下先生が、福島原発事故を契機に、核のゴミ問題に対して、本質的な解決方法がないものかと、熟慮された結果を著されたものである。
ここには、超長期にわたり放射線を発する核のゴミに関する現状や処理技術から、著者の結論としての最先端のレーザー技術を用いた、副産物を可能な限り生み出さず、短期間の内に処理可能な方法までが、本書を手にする一般読者にも判りやすく書かれている。
本書により、核のゴミ問題やその処理方法について、より多くの方に理解していただければと、願う次第である。
本書の目次
序章
第一部 入門編
1章 原子(量子)の世界
2章 放射線と粒子線
3章 本書の主役・レーザー
第二部 本編
1章 放射線廃棄物をめぐる問題
2章 レーザーを使った光核変換による中・長寿命放射性
同位体の短寿命化・安定同位体化
3章 レーザー・γ線ビーム発生技術の発展
4章 最新のレーザー技術を活かしたオールオプティカル
光核変換システム(APTS)の提案
5章 むすび
付録 I 新しい芽はどこから
付録 II 光科学技術の今後を考える
索引
本 編 の 冒 頭
1章 放射性廃棄物をめぐる問題(抜粋)
1.1 原発自身から生まれる問題
(i)生命の生存に致命的な影響を何万年以上に渡って与える放射
性廃棄物の発生源
核燃料元素(ウラン235U)と熱中性子(n)との核反応
は、①多種類の核分裂物質(核兵器の主物質プルトニウム
239Puを含む)と②中性子(2~3)個x nと③核エネルギー
を生み出す。・・・以下略
長寿命核種は放射能は小さいが半永久的に放射線を放出し
続ける廃棄物となり、半減期の数倍から数十倍の期間厳重に遮蔽
して保管し続けなければならない。
一方、長期にわたって大規模に廃棄物を最終貯蔵する場所、
例えば地下300m以下で甲子園球場の80倍以上の広さで地震・
火山・地下水に対して安全な空間は見つかっていない。
放射性廃棄物自身は生命体に対して、
-
死あるいは微量でも生命を脅かす、
-
五感に感じないかたちで任意の場所任意の形態で多量に存在し、長期間本質的な影響を与える(約1万年前は氷河期が終わり人類が石器を使い農耕が始まった時代)。
(ii)不可避な人為的ミスによるメルトダウン(MD)事故は人知を越えた被害を生みだす
‘79年3月スリーマイル島原発、’86年4月チェルノブイリ原発、‘11
年3月福島原発それぞれで炉心にある核燃料体が超高温溶融(メ
ルトダウン:MD)した。これらの事故により生じる「広義の廃棄物」の
処理は現在のところ解決不可能・・・以下略
チェルノブイリでは除染のみに12年かかっており、廃炉には145年か
かると言われている。ついでそれらデブリの遠隔地輸送が着手され
、2035年まで保管される。しかし最終処分場は決まっていない。
現在のただ待つだけの受動的な方法では、何百世代以上の年月に
もわたって対応していく必要がある。それは人が核廃棄物に直接近
づけないためである。
(iii)核兵器の原料(自然界にないプルトニウム239Pu)を生みだすー原爆6000発分
ウラン238Uが原子炉内で中性子を吸収すると放射性物質でありかつ核兵器の主物質であるプルトニウム239Puが生成される。(長崎原子爆弾)・・・以下略
このようにしてできた239Puが我が国の保有分として現在約48,000kg,すなわち原爆6,000発分ある。
核保有国でない我が国が、核兵器の原料となるプルトニウムの存在を監視するIAEAなどの国際機関から例外としてプルトニウム保有が認められている。 その理由は・・・・・略
このことが「世界各国から239Pu保有大国として潜在的核抑止力を保持したいためであろう」と誤解を招いている。
(iv)原発問題に絡むコストは負担不可能
原発コストとして①原発建設費、②普及・宣伝・説得等のプロパガンダ費、③地震・津波・テロ対策費等の安全対策費、④初期・中間・最終処理関連費、⑤再処理工場開発関連費、⑥廃炉費、⑦MD事故核廃棄物処理・除染費等、⑧MD事故損害賠償費などがあげられる。
以下にそれらの額を、何年も先でないと決められない・・・略
-
再稼働・建設中・廃炉予定・廃炉中も含めて全国で原発は57基ある。原発建設費用1基当たり2000~3000億円。
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1970~2011年間の電力9社の普及開発関連費等約2兆4000億円 。
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防潮堤などの経費7基でこれまで5300億円や1基当たり数100億円で既に計上されている5基のみのテロ対策費も含めて安全対策費3.3兆円。 ・・・以下略
-
福島原発中間貯蔵施設費用1.1兆円 。一方最終貯蔵施設費用は1万年間の見通しが不可能なため見積もることができない。
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使用済み核燃料処理・再処理費用18.8兆円 2003年から80年間 。1993年に建設開始以来2014年時点で経費12.6兆円であるにもかかわらず未だ完成せず。廃炉予定の高速増殖原型炉費1.04兆円。
-
平均的な規模の100万kW1基の廃炉費用6000億円、54基で3兆円。我が国では商用原子炉の廃炉の経験はない。
・英・ウエールズの比較的小規模原発廃炉費900億円 (既に行われてきた20年間を試算) さらに70年間かかる。英29基総廃炉費用8.85兆円と見積もられている。
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福島原発既実施・既計画 除染費用 2016年7月時点で4兆円。2016年7月末時点で累計復興予算25.5兆円 。未だ除染完了せず。
・米 スリーマイル島 MD原発2号基廃炉費のみ 12年間かけ既に行われてきた必要経費1200億円、このための高レベル放射性廃棄物最終処理場建設が1.08兆円かけ進められてきたが最近中止。
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福島原発既実施・既計画損害賠償費用 2016年7月の時点で6兆円。福島原発で生じる「広義の廃棄物」の処理等は現時点で未解決であるため、全損害賠償費用見積り不可能。
・独メルトダウン大事故損害賠償費用見積もり730兆円。
・仏メルトダウン大事故損害賠償費用見積もり 54兆円。
以上 ①以外は、原発の生成物が放射性物質である」ことから生まれたものである。すなわち「放射性物質排出問題」の1点にある。
その総計は現時点で推察できる範囲で65.1兆円(MD事故損害賠償費見積もり10兆円)~109.1兆円(同54兆円)~785.1兆円(同730兆円)となる。
しかしこの推定額より実際にははるかに多額のコストがかか
る。
例えばテロ対策費+乾式中間処理関連費+再処理工場完成関連費、最終処理場関連費、廃炉完了関連費、MD事故処理・除染完了関連費等。
合計すると「我が国の国家予算(2016年度96.3兆円)をはるかに越える」。
この問題を根底から解決するには、能動的に放射性物質を放射能を発しない物質(安定同位体)にするか、放射能を発する期間が極端に短くなる物質(短寿命同位体)にすることである。